技能実習生から特定技能へ
SPECIFIED SKILLED WORKER 特定技能外国人受入事業技能実習からの移行
技能実習2号までを修了すると、特定技能への在留資格の移行が可能です。
これにより、通算5年で帰国しなければならなかった技能実習生に、引き続き通算5年(分野によっては10年)就労ができる道が拓けました。
原則として、特定技能は対象の分野ごとに定められている特定技能試験と日本語能力試験に合格する必要があります。ただし、技能実習生に関しては技能実習2号までを修了した場合は、試験の免除が適用されます。
技能実習と特定技能を併用することで、受入れ企業様も中長期的な視点での新たな計画が立てられます。
技能実習修了後も引き続き雇用をしたい場合
技能実習が修了した後も引き続き雇用を続けたい場合にスタンダードになって来るのが、特定技能への移行です。
特定技能への移行には、技能実習2号を修了する必要があります。
技能実習1号→ ×特定技能
技能実習2号→ ◯特定技能
技能実習3号→ ◯特定技能
※技能実習3号からの移行の場合は、技能実習計画を満了(見込み含む)することが必要になります。
技能実習と特定技能
『技能実習と特定技能のどちらを受入れるべきか?』
それぞれの違いを詳しく説明します。
【制度の趣旨】
▼技能実習『技能移転および国際協力』
日本の技術や知識を発展途上国など海外に移転することで、国の発展に協力することを目的として設立された制度です。技能実習生が出身国では習得困難な技術や知識を日本で習得し、学ぶ場を企業が提供することで国際社会の関係性や発展に寄与するという目的があります。つまり、労働力確保の制度ではなく、あくまで技能実習生が日本において技術や知識を学び海外に技術移転し国際貢献するための制度です。
▼特定技能『日本の人手不足解消』
日本国内の深刻な人手不足を補う即戦力のための在留資格として設立されました。特定技能は「相当程度の知識もしくは経験を必要とする技能」が必要なため、技能試験や日本語試験で能力を測定し合格しないと、特定技能ビザの取得はできません。つまり、特定技能は人手不足の業界で即戦力として働けると認められた外国人のみが習得できる就労資格です。
【採用方法】
▼技能実習『一般的には監理団体型』
技能実習生の受入方式には、「団体監理型」と「企業単独型」があり、一般的には「監理団体型」で受入れを行う場合がほとんどです。
団体監理型の技能実習では、受入れ企業は監理団体に委託をします。監理団体は現地の送出し機関と直接やり取りすることで、技能実習生受入れのプロセスを受入れ企業に代わり実施します。
▼特定技能『直接雇用か登録支援機関を通して採用』
国内にいる特定技能1号外国人であれば、日本人採用と同様のプロセスで企業が直接採用するほか、登録支援機関を通じて採用することも可能です。
国外にいる特定技能1号外国人であれば、直接海外で採用活動を行うか、国外のあっせん機関を通じて採用することも可能です。
【対象職種】
▼技能実習
82職種150作業
▼特定技能
特定技能1号14分野(2020年現在)
〔厚生労働省〕介護、ビルクリーニング
〔経済産業省〕素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業
〔国土交通省〕建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊
〔農林水産省〕農業、漁業、食料品製造、外食業
特定技能2号2分野(2021年~)
〔国土交通省〕建設、造船・舶用工業
【活動内容】
▼技能実習『技能実習計画に基づいた活動』
外国人技能実習制度は、発展途上国の経済発展を担う「人づくり」に協力することが目的です。人手が足りないからといって簡単な業務だけを延々とさせるということは、人材育成には繋がりません。
そのため、技能実習では、技能実習計画に基づいた活動が義務付けられています。技能実習生が問題なく母国に技術を持ち帰れるように、技能実習期間に必ず指導しなくてはならない業務が、それぞれの職種・作業によって定められており、それらを実施していないと違反として実習取り消し処分となります。
▼特定技能『相当程度の知識と経験と技能を有する業務に従事する活動』
出入国在留管理庁の審査が通れば、事業所内のどのような作業をしても基本的に問題ありません。特に人材不足の企業にとっては、活動内容に関する規制が少ないという部分において、特定技能の人材を雇用することはメリットになります。
とはいえ、外国人だからといって何をさせてもいいということではなく、日本人と同等の扱いをし、日本人でも辞めてしまう人が多い労働環境であれば、働きやすい環境を整える必要があります。
【在留期間】
▼技能実習『通算5年』
技能実習1号(1年)
技能実習2号(2年)
技能実習3号(3年)
▼特定技能『通算5年以上』
特定技能1号(5年)
特定技能2号(5年以上)
【受入れ人数】
▼技能実習
常勤職員の総数に応じた人数枠あり
▼特定技能
人数枠なし
【転職】
▼技能実習『原則不可』
技能実習制度では、在留の目的が「就労」ではなく、あくまでも「実習」であるため、そもそも「転職」という概念が存在しません。所属先の企業が倒産するか、技能実習2号から3号への移行の場合のみ、「転職」が可能になります。
人材不足の企業にとっては、離職率の高さが人材不足の原因となるケースがあります。そのため、転職という概念のない技能実習での人材受け入れは、一定期間で安定的な人材確保に繋がると言えます。
▼特定技能『可能(同業種内)』
特定技能は「就労」が目的の資格であるので、同一職種であれば転職が可能です。企業にとっては転職されてしまうリスクがありますが、一方で特定技能2号の対象職種であれば、定期的な更新をすることにより無制限の雇用が可能となります。そのため、離職率がそれほど高くない企業にとっては、長期的な雇用につながると言えます。
【家族帯同】
▼技能実習
基本的に認められていません。
▼特定技能
特定技能1号は基本的に認められていません。特定技能2号は要件を満たせば、家族(配偶者・子)の帯同が可能です。
【入国時の技能水準】
▼技能実習『なし』
日本の技術や知識を発展途上国など海外に移転することで国家の発展に協力することを目的とした制度のため、各職種の技能については、日本での実習において習得します。ただし、技能実習生であっても、送出し機関により日本に来る前に職業訓練校などで技能を学んでいるケースもあります。
▼特定技能『相当程度の知識と経験が必要』
日本国内の深刻な人手不足を補うことが目的のため、人手不足の業界で即戦力として働けると認められ、技能試験で能力を測定し合格しないと就労資格が取得できません。
受入れ企業にとっては即戦力として働いてもらえる人材というメリットがある一方で、面接を受ける前に技能試験に合格する必要があることが求職者にとってのハードルとなり、その結果、求職者が集まりにくいという現状もあります。
【入国時の日本語水準】
▼技能実習『なし。ただし、介護職種のみ入国時N4相当必須』
技能実習は、送出し機関による入国前教育や監理団体による入国後講習で日本語を学びます。しかし、介護職種以外においては、入国時に必要とされる日本語水準に規定はないため、日本語能力は保証されていません。
▼特定技能『日本語能力試験N4以上』
日本国内の深刻な人手不足を補うことが目的のため、人手不足の業界で即戦力として働けると認められた人材であることが必要とされています。そのため、上記の日本語試験で能力を測定し合格しないと特定技能の就労資格の取得はできません。